梶山シュウさんという電気ベース弾きの人がライブをするというので、友人に誘われてふらふらっと行ってみたのである。
実は、ライブに行くのは今年これが初めてだった。
そしてそこで、目からうろこの演奏を目の当たりにしたので、久しぶりにむずむずとするので文章にしてみよう。
ヲルガン座というその音楽喫茶は、広島市内は平和公園のすぐ近くにある。
電車通りに面したにぎやかな通りのちょっとはずれのほう、趣のある面構えの古ぼけたビルの2階にその店はあった。
店の階段を上る前に友人は「店内にはたくさんの本が置いてあってね・・・とにかく妖しいから。」とほくそえんでいる。
いったいなんじゃいなと思いつつ、開け放たれた階段のドアを潜り抜けると、なじみのない音楽人の名前の入った味のあるポスターが階段いっぱいに張り巡らされている。
その瞬間から、いろいろな好奇心に支配される私なのであった。
しばし待たされ店内に入ると、なんというか・・・自分が今どこにいるのか忘れてしまうような別世界が広がっていて、ちょっとした退廃ムードが漂っている。
うまく表現できないので、ありきたりに言ってしまおう、つまり"アングラ"な匂いがぷんぷん漂っているわけだ。
ヲルガン座は、入り口すぐのところに狭い小さな階段がある。
そういえば、友人が2階席に行こうと言っていたことを思い出す。
ビルの2階なのに2階席とはこれ如何に・・・なんて寒いことは言うまい。
つまり、店の中にちょっとした桟敷席があるのだ。
まあ、昨今はこういう場所をロフトと呼んだほうがわかりやすいのかもしれないけど、このお店では桟敷席といったほうが似合っているだろう。
2階席は座敷で、座布団が無造作に並べられていた。
友人と私は一番窓際のちゃぶ台席に陣取った。
窓に背を向けて店内を向いて座るようになっているので、多分目の前がステージのはずなんだけど・・・店内いっぱいにお客が座っているので、音楽人たちはどこで演奏するんだろうと不思議に思った。
ちょっとした食事を楽しんで友人とぽつぽつ歓談していたら、今まで壁だと思っていたところの幕がするするっと開いて、その向こうにこじんまりした舞台が広がっていた。
ヴァイオリンを抱えたお姉さんが、一瞬構えてから芝居がかったしゃべりを始める。
この人が、ヲルガン座店主であるゴトウイズミさんであると友人が耳打ちしてくれた。
イズミさんは、自身もアコーディオンを抱えて歌う音楽人だそうだ。
オープニングでは、このイズミさんと大槻オサムさんという広島在住のパフォーマーの方がちょっとした小演劇(?)を披露。
以後ずっとこの2人が幕間のおしゃべりを担当した。
その夜のライブイベントのタイトルは『紳士淑女に送るヴァイオリンとベースの迷宮名曲集』という。
それは会場であるヲルガン座に到着してから知った。
ヴァイオリンとベース!
なんて素敵な取り合わせなのでしょう。
この2つの楽器だけのライブなんてなかなかないんじゃなかろうか。
しかも、説明はそれだけなので、どんな音楽が出てくるのかちっとも想像が付かない。
もっとも、ヴァイオリンとベースだと、私が想像出来たのは、せいぜいクラシックかジャズぐらいのもんだった。
実際は国籍不明、カヴァー曲だって原曲がなんだか途中までわからないアレンジがしてあったり、店主ゴトウイズミさんのオリジナル曲のカバーもあったりで、半分くらいしか曲名はわからなかった私である。
でもねえ、これがなかなか面白いのだ。
ヴァイオリンはほとんど弓を引いて音を奏でるので、押して引いてという独特のタイム感がある。
ウッドベースのほうも弓を使うと、2本の弓で奏でられる独特の波というのが生まれるんだよね。
もちろん、どちらの楽器も弓で押し引きするだけではなく、指ではじいたりとかいろいろな弾き方があるので、その組み合わせも入れると実に多彩な音の世界が生まれてくるってわけなのさ。
そして、私が体験したライブは、なぜかなつかしく、でも新しいし、何か思い出しそうな・・・そんな一種独特の音の世界だった。
出演は、最初のイズミさんとオサムさんを含めて4組。
それぞれが独特の世界を持っていて、私は圧倒されてしまった。
演奏の最初は、フミノなべ。竹内ふみの(バイオリン) +渡辺祐平( ウッドベース)
渡辺さんのベースは、以前何度かお耳にかかったことがある。
ただし、何のバンドだったのかは申し訳ないけれど覚えていない。
なぜ覚えているかというと、彼のベースを抱えたときのたたずまいと、そこから出てくる音を覚えているのだ。
ウッドベースで、へヴィメタ真っ青な早弾きを彼はするのだ。
私は大抵リズムをとりながら音楽を聴くんだけど、彼のベースは早すぎて時々ついていけないときがある。
あ、誤解のないように言っておくけれど、もちろんメロディアスなやわらかいフレーズもとても素敵なんだな。
そのスピードに竹内さんのゆったりしたヴァイオリンのメロディーが乗ると不思議な調和が生まれた!
彼らはジプシー・キングス、クラッシュ(!)の曲を披露した後、竹内さんオリジナルを演奏した。
渡辺さんは、印象とは違い意外と辛口なMCを繰り広げてくれた。
竹内さんは最後まで静かにヴァイオリンを演奏していた。
>>セットリスト<<
1.ジプシー・キングスの曲(聴いたことあるんだけどなあ^^;)
2.レベル・ワルツ(CRASHの曲)
3.この道
4.かわらぬ風景(竹内ふみのオリジナル曲)
5.デビット・サンボーンの曲
ちょっとの間をおいて、MI+SHU。MI(ヴァイオリン他) +梶山シュウ( 電気ベース)
梶山シュウさんは、ずっと昔、私がバンドをやっていた頃に始めてその演奏を聴いた。
見た目は、どこか仙人めいたところがあって、山奥でヨガの修行とかやってそうなんだけど、ひとたびベースを抱えるとすごいリズム感で静かにバンドを盛り立てるその演奏に圧倒された。
その後、ソロでベースを弾きつつ歌うところを目撃し、その技術と音楽性にまたや度肝を抜かれ、まだまだ私の知らない世界があることを教えてくれた音楽人なのである。
今回は、誘ってくれた友人の歌の師匠であるMIさんとのユニットで、この2人のユニットはなかなか見られないそうだ。
私はMIさんの演奏を始めて体験したのだけど、一種独特の世界を持つシュウさんに負けない世界を持っている人だった。
いろんな声色で歌い、いろんな楽器を鳴らし、果敢にもヴァイオリンにも挑戦する。うう~む、すごい。
この2人の選曲は、実を言うとこの日一番ヲルガン座の店構えにぴったりだったと思う。
彼らの曲は、何の曲かわからなかったのだけど、唯一、店主イズミさんのオリジナル曲のカバーのみ曲名を覚えていた。
「サーカス」というその曲の歌詞に私はしびれてしまった!
オリジナル曲のほうは知らないので、なんとも言えないけれど、歌詞にぴったりのそのパフォーマンスのすごさといったら・・・。
夜夢に見るかと思ったほど・・・怖かったのである。
>>セットリスト<<
1.オリジナルかな?数え歌のような不思議な曲
2.サーカス(ゴトウイズミ+アコーディオンの曲)
3.ボレロ(MIさんのヴォーカルがすごい!)
勢いに乗ってここまで書いてしまった・・・うわ、長くなった。
もうひとつ、この夜、一番私をうならせた4つ目の演奏については、改めて書くことにしよう。
「サーカス」
(たぶん)WORDS & MUSIC BY ゴトウイズミ、PLAY BY MI&シュウ(オリジナルはゴトウイズミ+アコーディオン)



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