ほぼ半年振り、山木康世さんが広島にやってきた。
平日だったけど、仕事を途中でほっぱりだして新幹線に飛び乗ってしまった。
5月も雨だったけど、今回もなぜか雨だったなあ。
山木さんの音楽との出会いは、私が大切にしているいくつかの音楽の中でも一番古いものだ。
小学校3年生くらいだったかな。
当時、同居していた叔母からもらったカセットテープがきっかけだった。
それはふきのとうという当時人気のあったフォークデュオの『風街茶房』というアルバムのカセットだった。
このカセットから流れてくる音楽を私はいたく気に入って、今でも全曲そらで歌えるほどに聴き込んだものだった。
そのあたりの話については、旧JUKE BOXでかつて書いたので、興味のある方はそちらをご覧ください。
山木さんから生まれる詩やメロディーは、現在までの私の音楽的嗜好やものの見方や感じ方の一番基本となる部分で多大な影響を与えているのは確かで、その後に出会ったどんな音楽も基準は彼の音楽を好きになったときとほぼ変わっていない。
一番純粋で、単純だったころに心地よいと思ったものを今でも心地よく受け入れられる自分でよかったなあと山木さんのライブに行くたびに感じる。
今夜は2部構成だった。
最初、山木さんは紋付を羽織って登場。
その姿がなんとなく粋なんだよなあ。
5本並んだギターの中から12弦ギターを選んで抱える。
今夜1曲目は、ふきのとうのデビュー曲「白い冬」だ。
小学3年生のときにふきのとうの音楽に出会ったとき、3枚目のアルバム『風街茶房』ばかりを聴いていたので、この曲をはじめて聴いたのは意外と遅かった。
切なくて真っ白な歌。
山木さんの味のある声で聴くと、よりいっそうその歌詞が沁みる。
山木さんの冬の歌が続く。
時々ちょっと毒の入ったMCをはさみながら。
私はずっとふきのとうを聴いていながら、ついぞライブに行くことはなかった。
だから、山木さんのライブに初めて行った時、子供のころから聴き続けてきた彼が目の前で歌っていることがしばらく信じられなかったほどだ。
年に2回、広島へ山木さんのギターと歌を聴くために足を運ぶようになった今でも時々そんな気分になる。
そして今回も何度も聴いた『風街茶房』に収録されている「街はひたすら」を聴いていたら、そんな気分になってしまい、ちょっと涙が落っこちそうになった。
まあ、この曲の内容自体がちょっとさびしい内容ではあるけれど・・・。
今回は5本のギターがステージに並べてあり、そのすべてを山木さんは演奏していった。
その中でもドブロと呼ばれるサウンドホールのところがアルミになっているギターの姿が私の目を釘付けにした。
ドブロは近くで見たこともほとんどないし、弾いている人を間近で見たこともなかったので、どんな音で鳴るのだろうと山木さんが手にするのをライブの最中心待ちにしていた。
2部構成の第2部の冒頭で、いよいよ山木さんはドブロを手にした。
演奏されたのはまだ聴いたことのなかった曲で、「闇のSL」というタイトルだった。
まだアルバムにも収録されていない新曲だった。
最初は炭鉱を走る夜汽車の歌かなと思っていたのだけど、終わりのころ真夜中の都会を走るといったような歌詞が聞こえて、「銀河鉄道の夜」みたいだなと思った。
雪の舞う大都会のビルの間を黒い煙を吐き出しながら、蒸気機関車が夜空に上っていくような感じを想像した。
山木さんの指からつむがれるギターの音が、レールの上を走る蒸気機関車の音を連想させたからだろう。
山木さんの歌を聴いていると、その中で描かれる風景が映画の1シーンのように思い浮かぶ。
ありふれた風景だけど、急がし紛れに生きていると見落としてしまう風景だ。
立ち止まってその風景をしばし見つめる・・・山木さんの歌はそんな歌なんだと思う。
山木さんはギター1本に時々ブルースハープを交えながらの弾き語りのスタイル。
彼の指からつむぎだされるスリーフィンガー奏法に毎回私は目が釘付けになる。
聴きなじんだ曲でもその日の気分やノリの違いで少しずつ弾き方が変わるのは当たり前だけど、そのつど驚きをもって耳を傾けてしまうんだよなあ。
PPMやブルーグラスが好きだったという山木さんのギターはたとえばブルースのような泥臭さはないのだけど、どこか大地のぬくもりや風の匂いがするような気がする。
そうそう、第2部では山木さんは真っ赤なトラ柄のジャケットを身にまとって登場した。
来年還暦を迎えるそうで、赤いちゃんちゃんこを着せられるのがいやなので、自分で見つけてきました・・・と粋なことを言う。
これがまた、なんともいえず・・・似合っちゃってるんだなあ。
前半に比べ、後半はちょっと硬派な演奏だったイメージがある。
ギターの演奏の比率が多かったのかな。
山木さんのあまり泥臭くはないけど細かな指使いのギター演奏を十分堪能させてもらった。
もちろん、私は山木さんの歌声も大好きで、ちょっと独特な声が伸びるとき、胸の奥がちょっときゅんとします。
せつなさがよみがえるというかなんというか・・・。
山木さんは決してうまいタイプの歌うたいではない。
むしろ無表情にも聞こえてしまうその歌は、いろんな情景を想像させてくれる。
ギターと歌のバランスがとても絶妙で、その世界に引き込まれちゃうんだな。
このコラムを読んで興味がわいた方は、ぜひ一度お試しあれ。
あっという間に楽しい時間が過ぎてしまい、いつの間にかアンコール。
前回のライブでも披露された「弁慶と義経」
12弦ギターの美しい音色がまるでシタールのように聴こえてとても不思議な感じがする。
実際には浪曲をイメージしているそうだが、使っているギターの音色のせいか一種幻想的だ。
弁慶と義経の五条大橋での出会いを山木さんがとつとつ歌う・・・というか語るに近いかな。
結構長いこの曲は山木さんのギターでよりいっそうスケールの大きい情景を思い起こさせる。
わくわくしながら聴いてしまった。
あっという間の楽しい時間だった。
山木さんのライブでは、最後にいつもちょっとだけ山木さんとお話しをする。
彼と話すとき、なぜか自分が子供になったような気分になってしまい、素直に感じたことが口から出てくる。
なんでだろう不思議だ。
山木さん、楽しい時間をありがとうございました。
またのお越しをお待ちしております!
>>セットリスト<<
----第1部---
1.白い冬
2.晩秋情景
3.ひとりの冬なら来るな
4.夕暮れの街
5.タイムトラベル
6.でいごの花
7.街はひたすら
8.プラトニック・ランデブー
---第2部---
9.闇のSL
10.泣きたくなった夕暮れ
11.月天心貧しき町を通りけり
12.誰もいないのに
13.なおちゃん
14.メリークリスマス
15.しじみの歌
16.僕らは夜明けを待っている
>>アンコール<<
17.弁慶と義経
18.嶺上開花
2009.12.09(水)「山木康世 Live Library 2009」~瀬戸内牡蠣の東の天に旭が昇り、嶺の上に花咲く~ (at 広島ライブ楽座)
「闇のSL」
WORDS & MUSIC & PLAY BY 山木康世




知らない曲が大半で、知ってる曲が6曲
そんなもんでファンといえるのか?
でもやっぱり「懐かしい」というのではなく
『好きな音と歌』なんだと思うのです。
コンサート・・・・
高校生から20代にかけて行きましたね~
出張先の大阪で聞いたソロコンサートが
最後だったから、もう15年以上前かなぁ
山木 康世 って書くだけで
幸せな気持ちになるのはありがたい♪
投稿情報: ゆみ | 2009-12-24 17:30
>ゆみさん
山木さんは、毎年元気になってる気がします。
新しい曲を次々作り出しているし、試みもたくさんしていらっしゃるみたい。
毎回ライブに行くと、すごいなあと思います^^
投稿情報: 安井文@管理人 | 2010-02-06 20:59