今から数時間前の気持ち。
こんな何もない町に今ベンジーはいるんだな。
寂れた商店街のロッテリアの2階で開場までの時間をつぶしながらぼんやりと考える。
窓の下アーケードを時々ベンジーファンらしき見覚えのあるような人たちが通り過ぎる。
さっき食べたハンバーガーはまるで味がしなかった。
ライブ前はいつもこんな感じだ。
自分がライブするわけじゃないのにベンジーに会えるってだけで緊張しちゃうんだよな。
そう、今日はよく知った地元の町のちっちゃなライブハウスで、ベンジー(浅井健一さん)のライブがあるんだ。
今、余りに暇なので、その気持ちを捕まえて書いておく。
明日読んだらきっと恥ずかしいんだろうな…。
頭の中には「光のスクリュー」が流れてる。
車から降りる時最後にかかっていたからだろう。
そういえば、今夜は久しぶりにベンジーファンの友人にも会えそう。
何年ぶりだろう。
しかし、時間はなかなか進まない。
あと1時間もすれば、ベンジーのギターが掻き鳴らされるんだ。
・・・そしてその1時間後から今の気持ち。
さっきまで、ベンジーは私の前で歌っていて、今も町のどこかにいるんだろうか。
今私は自分の部屋にいて、現実に戻ってしまったのでなんとなくあの時間が幻のように感じてる。
開場後、さして苦労することなく最前列に陣取る。
ステージに向かって左側、スピーカーのまん前でその距離は数十センチ。
セッティングの状態からすると私の目の前はベーシストの立ち位置で、距離としては2メートルあるかなというくらい近い。
そのすぐ後ろにドラムセットがあって、ベーシストの右となり中央はベンジーの立ち位置。
私からは2~3メートルくらい・・・かなり近い。
そのさらに右(つまりステージの右側)にもう一人のギターの人の立ち位置。
こんなに近いとは・・・。
ステージとは1メートルくらいの距離で、ほとんど生音が聴こえる上にスピーカーの音ももろに聴こえるので、今夜私の耳は何も聴こえないだろうなあ。
振り返ると狭いフロアはすでに人があふれそう。
今日は過酷な戦いになりそうな予感がした。
時計の針がなかなか進まず、私の緊張は最高潮に達しかけていた。
ぼんやりとスタッフがおのおのの楽器をチェックするのを見る。
ベンジーのマイクを見ながら、まだ実感がわかない。
やがて暗転。
メンバーがステージに上がった。
ベンジーは黒に花柄のシャツをはおってて、ジーパンはおろしてみたいにきれいな色だった。
その下から白い靴が覗く。
ああ、やっぱり・・・ジーパンはストレートよね・・・と心に固く誓う。
ベンジーは、雑誌で見てもTVで見ても、いつも変わらない気がする。
ちょっと無表情でぶっきらぼうな感じ。
なのに奏でるギターはものすごい熱くて、そのギャップに私は毎回魅了されるんだ。
ステージの前のほうに向かって左からベースの中條卓さん、背が高く白髪の混じった長い髪の素敵なおじ様といった風情。やさしげだけどちょっと厳しそうな感じもする。
そのちょっと後ろのドラムスには椎野恭一さんが座ってる。
椎野さん・・・何年ぶりだっけ。
なんだかすごく変わった気がするけど、相変わらず優しい微笑だなあ。
中央にベンジーがいて、その右むこうに『Sphinx Rose』をベンジーと一緒に作った深沼元昭さんがギターを抱えて立っている。
あと、ベンジーのアンプの後ろに女の子が一人。
ヴァイオリンの岡村美央さんだ。
あ、そうだよ、ヴァイオリンの入ってる曲あった!
彼女はそのほかにもキーボードやパーカッションを操っていた。
今夜はこの5人がどんな音を聴かせてくれるんだろう。
そして「スケルトン」
ベンジーはいつもアルバムの1曲目から始まるというイメージがあって、今回もこれだろうなと思っていたのでかなりうれしい。
うねるようなベースラインがすごくいいんだこの曲。
目の前で中條さんがなんでもない感じで正確なリズムを刻む。
今回は地元の小さなライブハウスで、ベンジーが演奏するから、私はとにかくその姿を目に焼き付けたかった。
とにかくベンジーを見つめてやろうと思っていたけど、やっぱりギターソロになると目を閉じて音を見ようとしちゃうんだよなあ。
正直、今回はどんな風にサウンドが鳴っているのかをきちんと聴けなかったけど、それでもやっぱり目を閉じて頭振って繰り出される音に浸ってしまいました。
ステージの生音がすさまじいので、一瞬何の曲が始まったのかわからなかったりしたりもしたけどね。
「スケルトン」ではまったく表情を変えずに歌っていたベンジーが2曲目あたりでふっと笑った瞬間があった。
弾いているギターを見ながらふっと笑った。
なんかね、それがすごくうれしくって、私も笑ってしまった。
それからもう私の頭のねじは飛んでしまって、ひたすら彼らの繰り出す音の洪水に身を任せた。
ベンジーはギターソロで2回も私の前までやってきた!
その距離わずか1メートルほど!!
みんな手を伸ばして彼に触ろうとしていたけど、私はその姿を目に焼き付けたくってじっと見つめていたわけなのさ。
アンコールの前、ステージから降りるとき、手を伸ばすみんなにタッチしていて、私も手を伸ばしたけど・・・届かなかった。
まあ、しょうがない。
触れそうで触れられないその距離感が私は好きなんだもん(と、一応書いておく)
とにかく、新しいアルバム以外の曲では、私のつぼにはまる選曲が続いてとにかくご機嫌な気分だった。
中盤までは、みんな割りとおとなしく盛り上がっていたけれど、なんだったか忘れてしまったがハードな曲がきっかけとなって後ろからの圧力がぐっと増した。
なんか懐かしい圧力だわ・・・とか思いながら、最前列を死守する。
後ろの男の子が一生懸命割り込もうとしていたけど、ごめんね、私もここにいたいから譲ることは出来ないんだぜ!と思いながら頭を振り続けた。
すごく楽しみにしていた「はかない命」けっしておとなしい曲ではないのだけど、"お前が好きさ"とベンジーが歌った瞬間、涙が落っこちそうになってしまった。
何でこんなに切ない気分になるんだろう、自分でびっくりだ。
ライブはやっぱりすごい。
聴き知った曲が化学反応を起こしてまるで違う曲に聞こえたりするんだ。
そのたびに変わって聴こえる曲もあったりして、その違和感を楽しみのが私は大好きだ。
とにかく音の洪水はライブが終わる瞬間までうねり続けていた。
椎野さんのよどみないやさしいリズムがとても心地よかった。
そのリズムに合わせて私はずっと体を揺らして頭を振ってとってもご機嫌だった。
ああ、この楽しい時間がずっと続けばいいのになあ・・・そう思ってたけど、やっぱり終わりはあるんだよね。
後半ずっと激しい曲が続いて、ステージ前の戦いは激戦を極めた。
私も最後のほうは立っているのがやっとで、ベンジーが前に来たって手を伸ばせなかった。
でも、その姿、まだ目の裏に焼きついている。
ベンジーはほとんどしゃべらなかったけど、いつものせりふは忘れなかった。
"またどこかで遊ぼうぜ"
うん!もちろん!
ベンジー楽しい時間を今夜もありがとう。
今日は、出待ちはしなかった。
なんとなくね、今日はそんな気分じゃなかった。
まだ、ベンジーは町にいるかな・・・そう思うだけで、ちょっとシアワセだからいいのだ!
-----ライブでやったような気がするセットリスト-----
順序は多分まったくでたらめ。
なので、番号は振らないことにした。
スケルトン
DEAD ROCK STAR
MAD Sufer
原爆とミルクシェイク
SENSATIONAL ATTACK
はかない命
Runaway Girl
Bad Strawberries
チーズバーガー
COOLER
SPRING SNOW
Super Tonga Party
Green Jerry
Hello
Diduri Didura
RUSH
FIXER
サリンジャー
危険すぎる
Your Smile
SAD PARTY
Jellybean Happiness Club
DEVIL
ツアーメンバー
Bass:中條卓(シアターブルック)
Drums:椎野恭一
Guitar:深沼元昭
Violin:岡村美央
2009.11.25(水)浅井健一 2009-2010 LIVE HOUSE TOUR "GOD MOTEL"(at 周南LIVE rise)
「SENATIONAL ATTACK」
WORDS & MUSIC & PLAY BY 浅井健一




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