昨日、どうしても聴きたい音楽があったのでCD屋をはしごした。
イメージしたものはなかったんだけど、CD屋に在庫はないだろうと思っていたすごいものを発見した。
やっぱり、今必要なものって目の前に現れるのかなと改めて思った。
探していたのは、フランス映画『シェルブールの雨傘』のメインテーマを演奏したもので、すごいものというのは、その音楽の生みの親であるミシェル・ルグランという人が、自分でピアノ演奏している音源だ。
いや~探してみるものである!
上司から借りたDVDを3連休中に見て、この映画にはまってしまった私なのである。
最近単身赴任してきた上司が、かなりの映画好きであることが、とある歓送迎会で判明した。
わいわい話をしていた同僚たちを置き去りにして、上司と私は古い映画の話で盛り上がってしまった。
DVDをたくさん所蔵しているそうで、"よし!貸してあげよう"と、上司は酔っ払い上機嫌で私に言った。
盛り上がったお酒の席での話だったので、私はぜんぜん期待していなかったんだけどね。
ところが、この上司は自分の好きな映画を人に勧めたくてしょうがない性質の人だった。
次々にDVDを持ってきてはみんなに貸して下さるのだ。
その中の1本が『シェルブールの雨傘』だった。
「シェルブールの雨傘」の有名なメインテーマは、私が小学生の頃から聴いている大好きな曲のひとつ。
1曲丸ごと口ずさめてしまうくらいだ。
昔、NHKで年に2回くらい2時間特番で映画音楽大全集と銘打った音楽番組を放送していた時期があり、私の家では家族全員でその番組をよく見ていた。
私の母が映画好きだったからだろう。
毎回ベスト10を決めて、それに沿ってオーケストラが有名な映画音楽を演奏する。
演奏中はその曲が使われた映画のスチール写真が何枚か写され、音楽がどんな場面で使われていたのかをいろいろ想像したものだ。
それとは別に、子供の頃、両親が買い与えてくれたミュージックテープでクロード・チアリさんの映画音楽を集めた作品集があり、それをよく聴いていた。
クロード・チアリさんはムードギターの大家だ。
彼がクラシック・ギターで紡ぐギターの音は、その後の私の音楽の好みに多大な影響を与えている。
ミュージックテープとNHKの番組、どちらが先だったか記憶が定かではないけど、とにかくそんなわけで、子供の頃から映画音楽をしこたま聴き続けてきたため、クラシックといわれる古い映画については、曲を聞いて映画タイトルを言える作品がいくつかある。
でも、その中で実際に映画本編を見たものというのはほとんどなかった。
レンタルビデオはおろか、ビデオデッキだってまだ家庭にはない時代で、映画というと映画館で見るものだったし、そういう時代が来ても、見るものはそのときの最新作品のほうが多くて、忘れてしまっているのだ。
NHKの特番でいろんなスチール写真を見ていたせいだろう、お気に入りの映画音楽の中には見た気になってしまったものもある。
『シェルブールの雨傘』もそのひとつだった。
『シェルブールの雨傘』はミュージカル映画だった。
見るまでそれも知らなかった!
ミュージカルと言っても、セリフが途中で歌に変わっちゃったり、登場人物が突然踊りだしたりというような事は一切ない。
セリフが全部歌なんだ!
物語は割とよくあるメロドラマで、特に感動するというような感じでもない。
全体的に大いに盛り上がるというシーンもない。
でも、ラストシーンでものすごく苦くて甘い切ない思いが生まれる・・・そんな映画。
メインテーマは、物語の中盤に主人公の男女が別れを惜しんでやり取りをするシーンで歌われるものだった。
それほど劇的なシーンじゃないけれど、ラストシーンの後、なぜか2人が見つめあいささやくように歌うその場面が思い出される。
フランス映画はフランス語の音があまり好きじゃないので好んで見ていないんだけど、この映画はフランス語だから出来たミュージカルだなと思う。
とてもよく練って作られた作品だ。
場面場面での色彩は、見ている人の感情を揺さぶるように配置されている。
歌はもちろん吹き替えだけど、それに合わせて役者が自然に動いて演技しているのはほんとうにすごい。
きっと、綿密にリハーサルを繰り返したんだろうなとうかがわせる。
ちょっとしたことがいちいちおしゃれで、卒がない。
音楽からイメージされるような劇的なシーンはどこにもなく、男女のすれ違いを淡々と追っている・・・物語はそんな端的な言い方で片付けられてしまう。そこだけ取り出すとものすごく現実的で生々しい。
だけど、そんなある意味陳腐な話のセリフを全部歌にしてしまい、音楽によって小川がゆっくりと低いほうへ流れるように映画自体の流れを作ってしまったところがとても面白い作品だと思う。
そして、今日も私の頭の中では"あの場面”で2人が歌う「シェルブールの雨傘」とクロード・チアリさんの演奏するその曲がごちゃ混ぜになって流れ続けてる。
昨夜はミシェル・ルグランさんのピアノ演奏まで加わって・・・アタマの中はすごいことになっている!
「シェルブールの雨傘」はYouTube検索するとたくさん映像や音源がアップされている。
その中にはコラムの中で書いた"あの場面"もあるので、お暇な方は探してみてくださいな。
いえいえ、その前に映画本編をぜひ見てください^^
「Les Parapluies de Cherbourg」
MUSIC & PLAY BY Michel Legrand




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