昨晩酔っぱらった私だが、思いのほか寝つきがよく、夜が明けるとすっかりアルコールも抜けて気分はすっきりしていた。
とは言うものの、だらだらとしているうちに山に出かけるにはちょっとだけ遅い時間にホテルを出発することとなる。
ガイドブックに載っているビジターセンターを探すもよく分からず結局訪問を断念した。
スーパーでお昼のおむすびと飲み物を購入して、いざ白谷雲水峡を目指す。
屋久島に来たとは思えないほどの快晴は、島を去るその日まで続いた。
年間のほとんどが雨模様だといわれる屋久島でこれほどの快晴に恵まれるなんてどのくらいの確率なのだろう。
もしかしたら今後数年の幸運を使い果たしたのかもしれないな^^
大阪に研修に行ったついでに何度か友人と屋久島旅行についての打ち合わせをしようと試みたのだけど、どうしても相談をそっちのけでお酒を楽しむ羽目になってしまう。
結局、レンタカーを借りることと、白谷雲水峡への散策だけは絶対に行くということと、その前後でヤクスギランドも歩いてみようという本当にピンポイントなことしか決定できなかった。
でもまあ、それで満足のいく旅になったのだからそれでよかったんだろう。(友人はどうだったか分からないが)
行きは私がハンドルを握る。
慎重とは程遠い私の運転に朝から友人の突っ込みが入りまくる。
だってしょうがないじゃないの、私の車とつなぎのタイミングが違うんだものと思いつつ、愛ある突っ込みがイタ気持ちいい。
なぜか私は屋久島は山がないと思い込んでいた。
実は屋久島には九州で一番高い山があるんだけど、そのことは屋久島に来てから知った。
それから、屋久杉は標高1000m以上の山に行かなければ見ることが出来ないんだそうだ。
えっちらおっちら車は坂道を登る。
のんきにアクセルを踏んでいる私は、せっかくだから"ヤクシカが出てこないかなあ~"などと、能天気に口に出してみた。
そしたら、なんと、ヤクシカの親子が目の前に出現!
朝から大興奮の私。
思わず停車してカメラを向けたのは言うまでもない。
この先何度か野生動物に出くわすのだが、そのたび大騒ぎの私に友人もちょっぴりあきれていたらしい。
私はいたって冷静に観察しているつもりなのだけど、友人が言うにはそのたび大興奮だったらしい^^;
そんなこんなで30分程度で目的地である白谷雲水峡に到着した。
すでに登山客が多数うごめいている。
駐車場は狭くて、後から調べたら20台分しかなかった。
しかし、運よく1台分スペースが空き待つことなく駐車することができた。
昨日のヤクスギランドとは打って変わって人人人・・・よく考えたら今日は日曜日だ。
白谷雲水峡入口で都道府県名を訪ねられる。
そういえば、ヤクスギランドでも聞かれたっけ。
大阪の正の字が一番多かったらしい。
ちらっと見えたと友人が笑っていた。
最初の階段まではきれいにタイルがひいてあり、これから登山に行くという感じではない。
その後いきなり急勾配の木板で作られた階段が結構長く続く。
しばらくタイルの遊歩道と階段が繰り返され、ちょっとつらいかなあとちらっと思ってしまった。
これは覚悟しなくては・・・と実は考えながら慎重に歩いていた私だった。
左に1つ目の吊り橋(ひりゅう橋)が見え、いきなり小さな滝が出現。
まだ触りだというのにちょっと興奮気味の私たち。
どのコースで歩くのか全く打ち合わせなし。
とりあえず原生林コース(4時間)のつもりで歩き始めた。
まずは友人が先行していたが、足の速さがまるで違うのでついていくのがやっとの状態だ。
結局途中で私が先行させてもらうことで落ち着いた。
左に曲がりさつきつり橋を渡ると原生林コースに入るというところまで来たとき、見上げると、正面にも階段があり、説明書きを見ると原生林コースを選んでしまうとみられない屋久杉があるようだった。
せっかくだから、それをまず見ようということになった。
かなり急な階段が続く。
下山する人の中に3歳くらいの男の子がいて、驚いたので手を引いている母親に"上まで行ってきたんですか?"と尋ねたところ、"いえいえ、200mくらい先に(屋久杉が)あるんですよ"と答えてくれた。
子供が歩いて行けるくらいだからたいしたことないだろうと進んでゆく。
がしかし、徐々に山肌がむき出しになってきた。
目的の屋久杉(二代大杉)に到着するころにはすでに立派な登山道だった。
これはもう引き返す時間がもったいないと、そのまま進んでゆくことになった。
その結果、最終的には太鼓岩往復コース(6時間)という最長のコースを歩くことになる。
あまりに汗が流れるので、私はハンカチ代わりのバンダナを頭に巻いた。
それから三本足杉、びびんこ杉、三本槍杉、奉行杉あたりまでは、ほとんど人と出会うことがなく、後ろからも人はやってこなかった。
とにかく急な勾配が続く。
もちろん人の手が入っている登山道なのだけど、そんな風に意識しなければそのことはあまり分からない。
出来るだけ自然に見えるように石が並べてあったりするからだ。
そして、等間隔に木に縛り付けられているピンク色のリボンを頼りに進む。
時々見失ったりもしたけれど、不思議と遭難するかもしれないというような不安は起こらなかった。
細かく張った根が階段のように続く山肌や、岩の積み重なった登山道をひたすら登る。
私はとにかく登ることに夢中で、ほとんど話題を振ることができなかったのだが、友人はずっと面白い話をしてくれていた。
蝉の声が聞こえ、秋とは思えないよねと言うと、何のセミかを教えて(友人は子供の頃、セミ博士だったことがこの日判明)くれたり、バーで出会った面白いおじさんの話をしてくれたり・・・この状況でどうして息切れもせずに話せるのか・・・まったくすごい人である。
しかし、その面白い話のおかげで、ともすると座り込みたくなりそうになる私は随分と勇気づけられていた。
途中3ヵ所ほど川の中の石を渡って超えて行くポイントがあった。
そういうところは鬱蒼と生い茂った場所で、雨だったらとても怖いだろうなと感じた。
雨の日には増水するので、その場合は引き返すようにという注意書きもところどころにある。
こんなところまで登ってきて引き返すのも・・・いやだよねなんてことを友人と話す。
二代くぐり杉を通り過ぎると、次はくぐり杉でここで当初歩く予定だった原生林コースと合流した。
このあたりまで来ると上から下りてくるグループが増えてきた。
あとで聞いたところによると、ふつうは当初登る予定だった原生林コースを通って白谷小屋まで行って下山で私たちが登ってきたコースを下るんだと聞いたのだけど、勾配のきつさを考えると、先に登ったほうが帰りが楽な気がする。
ちなみに、登山では下山者が優先だそうだ。
次は白谷小屋で休憩の予定だけど、ちょうどお昼なのでその手前の分岐点に座り心地のよさそうなベンチがあったのでそこでお昼を食べることにした。
白谷小屋はきっとたくさん人がいるだろうからとその手前での休憩にしたのだけど、そこはコースの分岐点でもあるので人の行き来は結構あった。
人間観察しながら歩き始めて一番長い休憩をとった。
最終目的地までは地図で見るとあとちょっと、もう少し森をゆく話は続く。
でも、長くなってきたので今回はここまで。
「太陽の靴」
WORDS & MUSIC & PLAY BY 鈴木雄大





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