日曜日、映画を1本。
レンタルDVDで。
前の席の同僚が、良かったよと言うので。
ドイツ人監督の作品とは相性がいいみたいだ。
あまりに観念的なものはちょっと分からないけど、"人間"が描かれている作品は、どこかしら共感するところがあるのかもしれないな。
この作品は、2007年にアカデミー賞の外国作品性にノミネートされた作品だそうだ。
そんなことはまったく知らなかった。
落ち着いた色彩と静かに進んでゆく物語に最初から釘付けになってしまった。
カメラワークもほとんど動きがないし、結構ロングで引いて撮影していて、建造物の大きさがなんか際立って見えるような気がした。
そのくせ、人の通りは少ないんだよね。
ちょっと黄色い色がかけてあって古ぼけた印象をもたらしていたと思う。
ああいう色調って私の波長に合うんだろうな、とてもきれいに見えた。
劇中、たくさんの音楽が流れている。
それこそ、アシッドジャズのようなものから、ロックまで。
共産圏でそんなもの聴けるのか・・・とものすごく少ない情報しか持たない私はちょっと面食らってしまった。
最初、主人公に嫌悪感を感じた。
学生に向かって、尋問の仕方を講義しているのだけど、その内容があまりにもえげつないので。
しかも、講義終了後に登場する同級生の口ぶりから彼が結構上役であることも伺えた。
冷徹に仕事をこなす人物。
彼が所属しているシュタージというものを初めて知った。
物語が進むと、主人公は非常に真面目で自分の仕事にほこりを持っていることが伺えて来る。
対して同級生は、権力志向で、主人公のことも自分の出世に利用しようとしている。
主人公にはそんな欲望はつゆほどもないような感じなので、なんとなく彼に好感を持ってしまう。
彼はとある劇作家とその恋人である女優の生活を盗聴することになる。
先に彼らの舞台を見た彼は、おそらく舞台上の女優に惹かれたんだろうな。
恋人たちのやり取りは、ただ仕事をこなすだけの彼の心に微妙な変化をもたらしてしまう。
後に自殺する演出家から誕生日プレゼントとしてもらった『善き人のためのソナタ』の楽譜。
劇作家はその曲をピアノで弾きながらその表紙に演出家が書いた言葉をつぶやく。
"この曲を聴いた者は、・・・本気で聴いた者は、悪人になれない"
主人公はこの言葉を聴いた瞬間、魔法にかかったのかもしれない。
そこから先は、微妙にはらはらし通し。
主人公は無表情に同級生に嘘を突き通そうとする。
劇作家と女優を守るために。
でもまあ、同級生は多分、途中で気がついていただろうけど。
主人公も自分のしていることが、人生を左右することだと分かっていただろうけど。
人生を左右する一瞬に彼は出くわした。
すべての事柄が終わり、彼は、約束されていた地位から急転落するけれど、後悔はしなかったのかもしれない。
そして、ベルリンの壁が崩壊し、劇作家は主人公の存在を知る。
彼はそばまで行きながら声をかけられなかった。
何を言えばいいのか分からなかったのかもしれない。
ラストシーン。
ここに書こうとしたんだけど。
とても素敵なのでぜひ映画を見て欲しいので書かないことにする。
何でか分からないけど。
ベルリンの壁が崩壊してから後、涙が止まらなかった。
主人公は劇作家と女優を愛していたんだと思うんだよね。
それは私が大好きなミュージシャンたちに向ける愛と似ているんじゃないかって思う。
この映画のラストシーンは、まさに私が思い描く理想的な芸術家とそのファンの姿のように感じた。
最初から最後まで、主人公の表情はあまり変わらない。
そのせいだろうか、一番最後に見せるほんの少しの誇らしげな笑顔がいっそう目に焼きついてしまった。
「善き人のためのソナタ」
MUSIC BY Gabriel Yared




実は昨秋大阪であったヨーロッパ映画祭の時に
この作品を観たかったのですが時間が合わずに見損ねたので
心底羨ましいです。
DVDレンタルしないのでケーブルテレビで放映されるまで
気長に待とうと思ってます。
投稿情報: 黄色の道化師 | 2009-02-16 21:20
>黄色の道化師さん
あ、やっぱり。
あなたのことだから、観てるかなあ・・・と思ってたんですが。
レンタルDVDに頼らないってところがあなたらしいですね~^^
チャンネルnecoあたりが放送しそうな予感・・・。
投稿情報: 安井文@管理人 | 2009-02-18 22:19