ドラマの再見を期に中断していた戸部けいこさんの原作のほうの「光とともに・・・自閉症児を抱えて」を買い揃えた。
といっても、書籍扱いの値の張る本なので、インターネットの古本を物色してほぼ全巻をそろえる。
全部古本は申し訳ないので、最新刊あたりは本屋で新品を購入した。
立ち読みでこの原作のことを知ったことは前回書いたが、本当の自閉症というものが世間で理解されているものとはぜんぜん違うことを知り、驚いた。
原作漫画は実に細かくそのあたりの説明が盛り込まれており、現実的な社会の反応やそれに対する対処のよしあしなどを物語のなかで分かりやすく表現してある。
ドラマ版の里緒先生像は、光の成長とともに変わってゆく歴代の担任の先生3,4人の人物像とエピソードをまとめたような感じであることが全巻読んで分かった。
原作のほうでは、どうしても自閉症児と健常児の違いを理解できずに苦労する先生たちの姿が何度も描かれていて、興味深い。
ドラマ12回の中で端折られている小学校に入学するまでは、母親である幸子が孤軍奮闘する姿が描かれている。
夫の雅人、義母は無理解で助けてくれることがないため福祉センターやNPO法人などに頼っている。
(義母にいたっては、つい最近の号でも自閉症はいつ治るのかと幸子に詰め寄っていたし。)
過労で倒れたことで、家族を大切にするようになった雅人の会社での仕事振りも描かれる。
光のことを理解する中で、いつか来る将来を考えるうちに彼が明るく元気に仕事のできる職場を自分の手で実現したり、コミュニケーションを助ける玩具のアイデアを出したりするようになった。
今も連載中のこの作品で、光はすでに中学生になっている。
ドラマで描かれている小学校低学年の頃と比べると、体も成長しているし、かなり表情が出てきて大人になっている。(カラオケで歌ったりもする。)
しかし、根本的なコミュニケーション能力は変わらないので、成長したが故のトラブルも相変わらず続出している。
絵柄はとてもやわらかくて優しい感じ。登場人物はみんな個性的。
光は典型的な自閉症の症状を持つ子供として描かれているが、自閉症にもいろいろなタイプがあって、画一的な方法では対処できないことがよく分かる。
でもそれは、健常児でも同じなんだということも作品の中に描かれている。
健常児ではあるけれど虐待を受け続ける子供や、健常児として生活する中で、自閉症とはまた違った機能障害が顕著に現れ、正しい診断を受けることなく不安なまま生活している子供なども折に触れて登場する。
また、大人になってから受けた事故のせいで自閉症のような症状が発症してしまった人なども最近では登場している。
かなりの取材を行っていることが作品の隅々にまで表れている作品だ。
小説や論文のように文章だけで、こういった事柄を誰かに理解してもらうというのは限界があると思う。
漫画という手法は、そういう意味でとても有効的な方法だと私はこの作品を知って感じた。
こういった社会的なテーマを扱った作品を奇麗事が描かれていると嫌う人もいるだろうが、まずは知ってもらうことが大切だと考えるならば、入門編としてはうってつけな作品だと思う。
ドラマ版でもそうだったが、原作でも基本的に本当に嫌な人というのは登場しない。
というよりも、誰しも最初から嫌な人だったわけではないんじゃないかとこの作品を読んでいると思うようになってくるのかもしれない。
作品の中で描かれる子供たちは、自閉症を抱える子供も含めて、みんな純真だ。
子供は置かれている環境や取り巻く人間を見ることでいろいろな感情や思考を植えつけられていく。
その中で嫌な人になっていったりするんだな・・・とこの作品を読んでいて思う。
自閉症を抱えた人たちは、一定のルール付けがないと健常者のようには生活できない。
そんなことちょっと考えれば分かるはずでしょう?・・・が通じないのだ。
自分の物差しで相手を計るなんてそんなこと絶対に出来ない。
そういう人を相手にしたとき、自分が腹を立てるのはなぜなのかを考えてみるといいのかもしれない。
・・・なんて、年を経てちょっとは丸くなった私はこの作品を読みながらそんなことを考えたりする。
時々ちょっと涙が落っこちたりしながらね。
機会があったらぜひ読んでみてください。
「ヒカリ」
WORDS & MUSIC BY 浅井健一、PLAY BY SHERBETS




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