読書の備忘録風コラムその2。
最近のはまり物、横溝正史の小説。
『時効警察』ネタを探していた時期にとあるコラム系個人ブロクに出会った。
人生経験豊富なおじ様がやってらっしゃるところで、幅広い分野についてさまざまな意見が書かれている。
横溝正史作品が大好きな方で、横溝作品が原作の映画やドラマの比較、ロケ地などについてもとても心惹かれるコラムを書かれている。
たまたま、映画版『犬神家の一族』の比較コラムを読んだ日の夜に2006年版『犬神家の一族』が放送されたので見て、さらに翌日、またまたその方の関連コラムを読んでいたら、だんだん横溝正史作品が読みたくなってきたので、すぐに本屋に行って角川文庫の棚の一番右にあった「八つ墓村」を購入してみた。
私は、探偵小説や推理小説をほとんど読まない。
最大の理由は途中まで読むとどうしても犯人を知りたくなり、最後のところを先に読んでしまうから。
犯人を知ってしまうと、謎解きなどどうでもよくなり結局全部読まずに放り出してしまう。
トリックの説明とかアリバイ工作の推論だとかの謎解きに重点が置かれているイメージがあるのだけど、そういうものに興味をもてないようで読んでいると疲れてくるのだ。
それと本の内容とは関係ない"記憶"も関係している。
子供の頃に父の兄弟が所有していた江戸川乱歩の「少年探偵団」シリーズが全巻あり、読もうとしたのだけど本があまりに古くその匂いと紙の感触が好きになれずにそれがそのままこのジャンルの作品を敬遠してしまう要素になってしまった。(図書館の本が苦手なのもこれのせい)
このジャンルの本を手に取るとそういった匂いや感触を思い出すのだ。
あと、小学生時分に本屋に並んでいた角川文庫の横溝正史作品をはじめとした推理モノの表紙の絵が、なんともいえず毒々しく艶かしかったため恐ろしかったという記憶もある。
(今現在本屋にあるのは、黒をベースにしたシンプルな表紙である。)
そんなこんなで、横溝正史・・・どうだろうなあと思いつつ、ページをめくり始めた。
まず、横溝正史さんの文体が気に入った。
ちょっと堅苦しい感じで話し言葉も丁寧で少しまどろっこしい感じ。
設定の時代が戦直後ということもあるが、話し言葉が丁寧で美しい。
カタカナ単語がかなり少なく"日本語を読んでいる"という感じがして読んでいて楽しい。
本を読む上で文体が好みかどうかというのはとても重要だと思う。
最近は内容はとても面白そうなのだけど、文体があまりに簡素であらすじを読んでいるような気分になる作品が多くてなかなか食指が動かない。
そういう意味で、横溝正史さんの文体はとても私の好みに合っていた。
それから、横溝作品では犯人探しは重要ではない。
もちろん謎解きの要素はあるけれど、それは事件のトリックに重点が置かれたものではなく、なぜその事件が起こったのか、どうしてその人はそんなことをしたのかということが物語の最大のポイントとなっている。
そして、、人物設定が奥深くそれらが事件の背景に奥行きを持たせていると思う。
そんなわけで、横溝正史作品は、私の興味を釘付けにしてしまった。
思いのほか「八つ墓村」は面白かった。
本棚の一番最初にあったことと、この小説は現実に起こった連続殺人事件をエピソードに使っていて、昔その事件を映画化した作品を見たことがあったので(故古尾谷雅人さんが主演)選んだだけだったのだけど、いきなりその世界に入り込んでしまった。
読み終わりはなんともいえない余韻が残った。
続いて、「本陣殺人事件」、3冊目は「殺人鬼」(これはまだ途中)
こちらは短編集で、先に「八つ墓村」を読んだので、長さ的に少々物足りなさを感じつつも、短編にもかかわらず、手抜きのない設定と流れでうまく構成しているのがすごいなと感じた。
小説を読んでいてもあまり情景が浮かばないタイプの私でも、これの映像化されたものが見たいなあと思ってしまうほど、色の表現が細かくて興味を引かれた。
とにかく登場人物が魅力的。
特に女性は神秘的でなまめかしく色っぽい。
いい人に見えても真にいい人ではなかったりして、人間の裏表を見せられているという感じがする。
だから、物語の終わりは必ずしもいいものではないが、長く心に残る。
それから、最初はあまり気にも留めなかった金田一耕助のことが好きになってきている!
これはびっくり。
金田一耕助の描写は、お世辞にもいいものではなく実際目の前でこの人を見たら、ほとんどの人は胡散臭くかんじると思う。
派手に調査活動をするわけでもなく、ただそこにいるという感じなのだけど、金田一耕助が登場すると少しほっとしている自分を発見してなんかちょっと恥ずかしかったり^^;
普段よく読む恩田陸さんが横溝正史さんのような感じなので、もしかしたらよく探せば私の好みに合う探偵・推理小説がもっとたくさんあるんだろうなと思う。
間に違うタイプの本を挟みながら、横溝正史作品を全部網羅しようと思っている今日この頃。
「Dark Shines」
lyrics performed by Muse




この先貴女と横溝ワールドのお話も出来るのかと思うと
涙がチョチョ切れます。
金田一耕助氏は私がこの世で一番好きな探偵なのです。
映像化されたものもほぼ洩らさず見てます。
高校生の頃はあの淫靡で怪奇小説でも通りそうなどす黒い世界に
心底ドキドキしたものでした。
軽く興奮気味の私でした・・・(^^;)
投稿情報: 黄色の道化師 | 2008-07-03 20:34
slanさん、お久しぶりです。
あいまいな記憶ですが・・・
「本陣殺人事件」は、とても昔にテレビで
観た気がします。
金田一耕助役は古谷一行さんかな?
>>手抜きのない設定と流れでうまく構成
私も同感です。ほんとにうまい!!!
追伸 : 故古尾谷雅人さん主演の
「丑三つの村」には衝撃を受けました。
投稿情報: Riko | 2008-07-04 09:30
>黄色の道化師さん
好きなんじゃないかなあと思っていたので、その反応はうれしいな^^
今度会うときが楽しみですね。
投稿情報: 安井文@管理人 | 2008-07-04 17:08
>Rikoさん
「丑三つの村」をご存知とは・・・マニアックですね^^
あれはほとんどエロ映画でしたが、殺人事件は衝撃的でしたよね。
「本陣殺人事件」はおっしゃるとおり古谷一行@金田一でした。
私も見たいんですよね!
投稿情報: 安井文@管理人 | 2008-07-04 17:09