すっかり日がたってしまったが、映画版「夜のピクニック」の感想を。
読みたてほやほやの小説の登場人物が今から目の前で動くんだと思うと、映画が始まる瞬間もどきどきして落ち着かない。
小説を数時間前に読み終えて映画を見るというのは生まれて初めての経験で、恥ずかしながらかなり興奮状態だった。
小説には小説の持つリズムがあって、読んでいると一緒に歩いているような気持ちになっている。
それはきっと恩田陸さんの文章が持っているリズムなのだと思う。
そして、映画には映画のリズムがあった。
イメージどおりの主人公たちが白いジャージでおしゃべりしながら歩いている姿を見るとおおっ!小説の通り!と感動すら覚えた。
主人公たちもそれぞれは映画出演数も結構ある役者たちなのだけどTV露出が少ないからだろう、見たことはあるんだけど・・・程度にしかわからない。
そこがいい!
妙に顔の売れた俳優がひとりでもいたらこの映画の面白さは半減したと思う。
脇を固める大人たちは個性的な人たちばかりだけど、あくまでも主人公は高校生なので彼らが目立つことはほとんどない。
映画の中の物語は、小説とは印象が違っている。
一番大きいのは、小説では多い主人公の独白シーンが映画では役者の表情等でそれを表現する余地が生まれるので、小説にはないちょっとした脇役のふれあいなんかのシーンがあったりすることだ。
小説と同じく主人公の独白シーンが多かったらきっと面白くない。
それよりも小説ではほとんど触れられることのない歩行会実行委員のちょっとドンくさい少年を見守る少女の優しい表情とか、歩行祭の前にみんなを驚かそうと行く先々に準備をしていた少年たちのみんながびっくりする姿を見て喜ぶ姿なんかが私をわくわくさせた。
私には夜を徹して80キロを歩くという経験はないけれど、友達とくだらないことで時間を使ってどうでもいいことを話していたという経験はあるのでスクリーンの中の映像がとても懐かしく感じられることもあった。
小説では、主人公とその友達のシーンが切り取られて表現されている。
映画でももちろんそうなんだけど、カメラが少し広い範囲を捕らえるとそこには主人公たち以外の生徒が歩いている姿が捉えられる。
1000人にも及ぶエキストラ全員にキャラクター設定が行われたそうだ。
後でこのことを知り、手の込んだことをしているんだなあと感心した。
それぞれがクローズアップされることはないが、それぞれに主人公たちとは違うけど、本人にとっては重大な問題(と思っている問題)や話題があるのは確かだ。画面からはなんとなくそんなものが感じられていたので、きめ細かい演出に頭が下がってしまった。
原作を読んでいなくても映画はきっと楽しめるだろう。
でも、読んでいたらもっと楽しめる。
小説に出て来る貴子が融がそこにいるけれど、映画とはちょっと違う展開を楽しめるだろう。
また映画を見たら原作を読みたくなるに違いない。
融をじっと見つめる貴子が、貴子をじっと見つめる融が何を考えているのか知りたくなるだろう。
こういう相乗効果をもたらす作品はあまりないと思う。
ぜひ、どちらの作品も楽しんで欲しい。
ところで。
私は個人的に融の親友である忍が気に入っている。
この少年は映画では少し印象が違って見えたのだけど、見ているうちにうん!忍はこんなやつだよなあ~とすっかり虜になってしまった。
こんな男はなかなかいない。
かっこいいです。
『夜のピクニック』
ジャンル : 青春
製作年 : 2006年
製作国 : 日本
配給 : ムービーアイ エンタテインメント、松竹
監督 : 長澤雅彦
脚本 : 長澤雅彦、三澤慶子
企画・プロデュース : 牛山拓二
出演 : 多部未華子 、 石田卓也 、 郭智博 、 西原亜希 、 貫地谷しほり 、 松田まどか 他多数
「フタリ」
WORDS BY Maynard, Blaise, tax、MUSIC BY Maynard, Blaise、PLAY BY MONKEY MAJIK




この映画、観たくなってきちゃいました。
先に、原作を読むか、映画を観るか。
迷いどころです。。。
投稿情報: さみごん | 2006-10-12 13:18
>さみごんさん
ちょうど今の季節が舞台なので、見ていてとてもすがすがしい気分になりますよ。
まだ読んでいらっしゃらないなら映画が先のほうが楽しいかも♪
ぜひぜひ!
投稿情報: 安井文@管理人 | 2006-10-12 14:06