10月28日(土)、『長州ファイブ』の上映初日。
前日の夜、めずらしく両親がどうしてもこの映画を見たいから予約をしてくれと言う。
発券方法がきっとわからないだろうと思ったので、一緒に行くことにして予約を入れる。
よりによって初日にしなくても・・・と実は心の中で思った。
しかし、なんでこんなに残りの座席数が少ないのだろうと頭を捻っていて・・・思い出した!
この日は舞台挨拶のある日だったのだ。
翌朝、再度インターネットで座席数を確認するとすでに残り50席を切っている。
そりゃまあ、有名人が来るとなりゃノリが悪いので有名な山口県民も重い腰を挙げるわね。
しかも今回は山口県が生んだ名優(と呼んでいいだろう!)故松田優作氏の息子が主演となると余計にね・・・(もちろん私も)
それに長州ファイブとくりゃ・・・。
と言うわけで、全国に先駆けて先行上映された山口県のしかも一番早い上映を見てきた。
しかし、全国ロードショーは正月なのだそうでなんだかちょっと寂かったりして。
とにかくこんなに年齢層が広いのは初めて体験した。
腰の曲がったおばあさんから、補助席が必要な小学生低学年まで。
まんべんなく揃っているという感じ。
舞台挨拶には五十嵐匠監督と長州ファイブを演じた松田龍平さん、山下徹大さん、北村有起哉さん、三浦アキフミさん、前田倫良さんが登場。
この映画を見たいなと思ったのは、もちろん"長州"という単語の威力もあるのだけど、個人的には五十嵐監督作品だからというのが大きな理由。
これまでに五十嵐監督作品では『地雷を踏んだらサヨウナラ』『みすゞ』という作品を見たことがあり、どちらもすごく好きな作品なのでその監督の最新作なら見たいなと思った次第。
監督はこの映画を長州の地で一番最初に上映できて、しかもこれほどの人が初日に来てくれてとても嬉しいと声を詰まらせそうになりながら挨拶していた。
偶然にも前日は吉田松蔭先生の命日で(私は知らなかった)なおさら感慨深いとおっしゃっていた。
長州ファイブの面々は、まあ、その辺を歩いているおにいちゃんといった風情で、てんでばらばら好き勝手な感じ。
どうも前日宴会だったらしくなんとなくぼんやりけだるい感じが漂っていた。
松田龍平君は思っていたよりも普通に喋る人で、好感が持てた。
小さい声だったけどきちんと語尾までいえる人。
驚いたのは、喋り方が父親の優作氏にそっくりになってきたことかな。
後ろから2列目あたりに座っていたので顔はよく見えなかったんだけど、母は母親似だねと言っていた。
午後からは別の複合映画館で舞台挨拶があったそうで、マスコミ用の撮影が終了すると彼らは早々に立ち去った。
長州ファイブのことは伊藤博文がメンバーにいたことぐらいしか知らなくて、よく調べることもしないで映画を見に行った。
まずは映画が面白いかどうかだから。
話題としては早くから耳にしていて、絶対に見に行くんだと言っている人も結構いたなあ。
やはり"長州"だからなのかな。
映画は全体的に活気に溢れていて、胸が熱くなる内容だった。
150年前、英語も喋れない若者が異国の船に荷物の扱いで放り込まれて下働きをしながら見たことない国を目指す・・・それが実話であろうとなかろうとそれだけでわくわくした。
当時、日本はまだ鎖国していて密航したことが幕府にばれれば死罪。
分かっていながら彼らはイギリスに行く決心をしたのだ。
このままではいかん!それだけの思いで。
5人の中で1人だけ英語の喋れる人がいて、イギリスに向かう船の中で数ヶ月間ずっと彼らは英語の勉強をする。そして、イギリスに到着した時、お世話になる予定の大学教授の前で英語で挨拶をする。
英語が喋れないと聴いていた教授夫妻はびっくりするが、彼らの熱意と誠意に心を動かされ色々と世話を焼いてくれる。
長州ファイブという呼び方は、イギリスの地で礼節を尽くし熱意を持って勉強した5人の若者に敬意を表したイギリス人が呼ぶようになった呼び方だそうだ。
150年前、日本は開国していなくてイギリスでも日本人を見るのは初めてだったろう。
しかも、未発達の文明を持つよく分からない東の果ての国からきた汚い格好をした彼らはイギリス人の目にどう映ったんだろうね。もしかしたら人間にさえ見えなかったかもしれない。
当時のヨーロッパを考えたら、何をされてもおかしくはなかったと思う。
だから余計に彼らがあの過酷な航海を2度もくぐって生還したことは単純にすごいことだと思う。
今のような便利な時代ではなかったのだからね。
人種差別はもっと激しかったはずだし。
・・・胸が熱くなった。
映画は全体的に硬派な作りで、音楽も人気歌手のタイアップ曲はおろか、かっこよさをねらったロックっぽいものでもなく、ちゃんと映画のテーマにマッチした重厚で気分が高揚するようなクラシック調のいいものだった。
イギリスに渡った伊藤博文(映画では俊介)と山尾庸三が文明国イギリスとそれがもたらした貧富の差を体験するエピソードが盛り込まれており、いたずらに文明開化を賛美するものではないつくりになっている。そのあたりがさすが五十嵐監督だなと思わせた。
映画では、一番最初に生麦事件が出てきてかなり胸が痛むシーンがあったほかは、残酷なシーンは皆無。
人が死ぬシーンもないのだが、鼻をすする音がそこかしこで聞こえた。
私も時々で胸が熱くなり、涙が落っこちそうになった。
ちょうど今、日本の歴史を勉強中なのですごくいいタイミングでこの映画を見ることが出来たなあと思う。
日本の明治維新が成功したのは、その前の250年間の江戸時代の間に日本なりの社会システムが確立されていたからだという論旨の本を最近読んだばかりで、その結果、長州ファイブが生まれたんだなあと頭の中で結びつけてこれまた胸が熱くなった。
たくさんの人が見ますようにと切に願う。
日本人はすごかったんだとか長州ファイブの面々がすごかったとか・・・もちろんそこに目が行く人もいるだろうけど、単純に何かに一生懸命になり、生命の危険も顧みず英国へ行き、一生懸命何かを得ようとする登場人物たちの熱意に胸が熱くなると思う。
山口県は全国に先駆けて先行上映されたので、細かいことについて書くことは控えた。
そうそう、伊藤俊介(博文)役の三浦アキフミ君はイギリス渡航当時の伊藤博文にそっくりです!
舞台挨拶当日の朝、光市の伊藤博文公の生家を訪れた際に「お帰りなさい」と声をかけられ思わず「ただいま」と答えてしまったそうだ。
『長州ファイブ -CHOSYU Five-』
ジャンル : 時代劇
製作年 : 2006年
製作国 : 日本
配給 : リベロ
監督 : 五十嵐 匠
脚本:五十嵐 匠
製作総指揮:前田 登
製作顧問:岡本 要
エグゼクティヴ・プロデューサー:水野 清
音楽:安川午朗
撮影:寺沼載雄(JSC)
美術:池谷仙克
編集:川島章正
出演 : 松田龍平、山下徹大、北村有起哉、三浦アキフミ、前田倫良、寺島進、原田大二郎、泉谷しげる、榎木孝明




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