今月に入ってから時間があると映画館に足を運んでいる。
なぜかというと、いつも足を運んでいる私の町の複合映画館で今月は単館系の作品が週変わりで企画上映されてるから。
その期間中、企画上映されてる作品を6本見ると何かしら景品がもらえるらしいのだが、風邪をひいて体調を壊したこともあり結局今のところ2本しか見られていない。景品はもらえなさそうだ、少し残念。
そして、その中でも必ず見たいと思っていた作品に昨夜いってきた。
「ヒトラー ~最後の12日間~ 」である。
ドイツ人が作ったヒトラーの映画だということなので、これはもう絶対見ておこうとラインナップを見たときから心待ちにしていた。
ただの娯楽映画という見方はできなかった。
歴史のある瞬間をできるだけ冷静に描こうとした作品だけにどちらかと言うと描かれる物語から戦争というものについてあらためて考える気持ちのほうが多かった。
タイトルがタイトルだけにヒトラーについて描かれている映画なんだろうという先入観で見た。
実際、物語の中心にいるのはヒトラーなのだけど、作品はヒトラーが自殺したあとベルリン陥落まで描かれる。
あれ?っと感じたんだけど後で調べたところ「原題:DER UNTERGANG/ 英語版:THE DOWNFALL」となっていた。
意味は"落下"あるいは"没落"。
なるほど、このタイトルなら納得である。
物語は、ヒトラーの秘書トラウドゥル・ユンゲの回想録「最期の時間まで」(邦題:「私はヒトラーの秘書だった」)に基づいているそうで、映画の最初と最後に実際のユンゲのインタビューが組み込まれている。
本編中のユンゲはヒトラーに完全に傾倒している。
最後の最後までヒトラーと地下施設に留まり奇蹟を待っていた。
しかし傾倒していながらどこか冷静な部分を持っていて、分単位で変化するヒトラーの感情の変化についていけなくなり時折涙を溢れさせる。
狭い地下施設にはたくさんの人間がいて、ヒトラーを取り巻いている。
ヒトラーが国民など死んでしまえばいいと暴言を吐き、あくまでも降伏しない、第三帝国は必ず復活させるとヒステリックに叫びつづける。
部下はみな、ヒトラーに忠実で何とか彼の言うように形勢を逆転させたいと願っているが、既にロシア軍はベルリンを包囲し、ドイツ軍は壊滅寸前。
将軍達は、ひたすらヒトラーを守りつづけているが、それすらあやうい。
再三にわたって脱出を進言するが、ヒトラーは最後までそれを受け付けなかった。
ヒトラーの最後は歴史的に有名で映像も残っているから詳細をつぶさに見せてもらった感じ。
彼にまつわるエピソードには憐れみしか感じなかった。
しかし、一転して地上の市民軍が映し出されるともう涙が止まらない。
恐らく史実に基づいた創作エピソードがほとんどだったんだろうが、とにかくこのエピソードがあるので、この映画には深みが加わっていると思う。
10歳にも満たない少年が志願して戦車をおびき寄せては爆弾を投げて破壊する。
SSは逃げようとする成人男性(と言っても老人にしか見えない)を裏切り者と言って背後から撃つ、捕まえて首に縄をかけその死体を辱める。
少年は、最初勇敢に戦うが、仲間が次々と死んでいく姿を見て自分のやっていることに疑問を感じ、結果として少年を前線から取り戻そうとする父親の元に帰ってゆく。
その父親もベルリン陥落後、首をつって死んでしまう。
戦争は嫌でも負けて捕虜になるのは我慢できなかったのかもしれない。
少年は逞しかった。
SSに追い掛け回される老人達を匿い、自分も生き延びるために隠れつづける。
物語の終わり、ロシア軍に包囲されたドイツ軍の中からたった一人で逃亡を試みるユンゲ。
不安顔の彼女の手を少年の手がしっかりと握りその中から助け出す。
この少年が映画の最初に出てきたときから、せめてこの子だけは生き残って欲しいなと思っていた私はほっとした。
監督はオリヴァー・ヒルシュビーゲル。
これも後から分かったんだけど彼は「es(エス)」の監督。
「es」はアメリカの大学で1971年に試みられた心理実験(今も裁判が終わらない事件)をドイツを舞台に描いたサイコ・ムービー。
どの立場の登場人物に感情移入するかによって感じ方が変わるある意味恐ろしい映画。
が、非常に考えさせられる作品で私としてはお勧め。
映画の雰囲気がそういわれれば「es」に似ている。
こちらのほうが「es」よりは入りやすくのめりこみやすいと思う。
カメラワークが独特で、狭い場所での撮影が多かったため手持ちカメラが多かったそうだが、そのおかげだろう地下の狭さや猥雑さがよく伝わってきた。
狂気は伝染するというのが良くわかる。
映画の評価はいたるところでやや好意的。
ヒトラーを人間味ある人物として描いたことに批判が多いそうだが、私は逆にその姿を見ることで恐ろしさが増した。
あんな、怯えた精神的にもろい人間があんな恐ろしい政治をしたんだという事実をあらためて知りぞっとした。
とにかく冷静な目で、当時の状況を描こうとしたことが伝わってくる。
ヒトラーを擁護するわけでなく、ことさら少年にスポットを当ててそこを強調するわけでもなく。
ただこういう状態だったということが淡々と描かれている。
ヒトラーを信奉する人間は彼のやった残酷非道なことを一切知らされずに彼を尊敬し頼っていたし、国民達はただ必死に生き延びることだけに神経を向けていた。
戦争というのはそういうものなんだと。
ユンゲは懺悔する。
どうしてあのような恐ろしい人間に傾倒したのだろうかと。
若かったからという理由は言ってはいけないと。
ヒトラーを選んだのはドイツ国民。
彼らはそれをきちんと分かっているし、それが間違いだったこともわかっている。
戦後60年。
戦争を知らない私も今考える時が来ているのかもしれないとエンドテロップを見ながら考えたんだ。
「ヒトラー ~最後の12日間~ 」
ジャンル : 歴史
製作年 : 2004年
製作国 : ドイツ
配給 : ギャガ・コミュニケーションズ
監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル
製作・脚本:ベルント・アイヒンガー
出演:ブルーノ・ガンツ、アレクサンドラ・マリア・ララ、コリンナ・ハルフォーフ
「透明な戦場」
WORDS & MUSIC BY 浅井健一、PLAY BY JUDE




slanさん、お久しぶりです。
中弛みしていたので、ようやくmisaは5話目に突入しました。
こんなことで年内に見終えることが出来るか、ちょっと心配です。
狂気は伝染する。
戦争を現す言葉を、言い当てられた感じがします。
多分このブログを見なければ、この映画に対して興味を抱くことはなかったと思いますが、すごく私の好奇心を刺激しています。
戦争の指導的立場というのか、要するに、指揮官に当たる人達は何を考えていたのかをもっと知りたいと思いました。
投稿情報: ポコリン | 2005-11-08 16:46
>ポコリン さん
お元気ですか?
今朝ニュースでそちらのほうでは初雪が降ったと言っていました。
ポコリンさんのお住まいのあたりも降ったのでしょうか?
かたいかなと思っていた映画の感想にコメントいただけてうれしいです。
どんな著名な政治的指導者であっても、どんなに悪名高い戦争指導者であっても、彼らは結局ただの人間、それは変わらない事実なのではないかなと、最近如実に感じます。
普段、政治や歴史のことは教科書や新聞、ニュースで知るのみ、風に任せるのみの一般人にはこういった映画などで現在に続く歴史を知るのみです。
ポコリンさんの目に止まったこと、嬉しいです。
お互いにまた新しい"imagine"の始まりですね。
misaゆっくりご覧下さい。
ちょうど、本放送の時期が近づいてきましたからドラマを味わうにはうってつけかもしれません。
長い冬の始まりですが、くれぐれも体にお気をつけ下さいね。
投稿情報: 安井文@管理人 | 2005-11-09 09:34
slanさん、こんばんは。
私の住む所の今日のお天気は、初雪というロマンチックなものではありません。吹雪というのともちょっと違けど、横殴りの風に丸いあられ状の雪が叩きつけられていました。お昼から出かける用事があって運転したのですが、久々の雪道(というよりは、シャーベットのとけた感じ)で怖かったです。もちろん、タイヤはすでにスタッドレスに変えていますが・・・。
misa、本放送されるとのことですが、北海道でも放送されるのなら嬉しいですぅ。
投稿情報: ポコリン | 2005-11-09 20:31
>ポコリンさん
雪・・・とっても寒そうです。
シャーベット状の雪がある道路・・・。
私はとても運転できそうにないです。
交通事故にはくれぐれもお気をつけください!
misa本放送の部分、私の書き方が悪かったです。
misaは12月に放送されたので、という意味だったのです・・・。
ごめんなさい>0<;
ところが!
どうやら本当に年明けに放送されるらしいです。
どこの放送局で放送されるのかみんな興味津々。
どこなのでしょうか??
私の推測はですね・・・。ここだけの話ですよ(小声・・・?)
今のタイミングで言うと2月頃にあの局でという感じがするんですよ。
あくまでも私の推測だということを忘れないで下さい!
北海道でも見られるところで放送があるように私も祈ります!
って、山口県も~^^;
投稿情報: 安井文@管理人 | 2005-11-11 11:33