水曜日、女性デーなので映画を1本。
「カーテンコール」を見てきた。
下関市が舞台のこの映画、現在、山口・北九州にて先行ロードショーされている。
全国上映は、10月からなのでこのコラムを読んで興味をもたれた方はぜひ足を運んで欲しい。
もう10月だけど。
昔、TVが普及する前、田舎の小さな町にあった映画館。
今は複合映画館を持つ私の町にも小さな映画館があった。
二階席には畳のブースがあって、そこに座って手すりから身を乗り出して映画を見た記憶が私にはある。
確か見たのは「ゴジラ対ヘドラ」怪獣映画全盛の頃。
でも、TVのせいで映画の興行成績は下降をたどっていた時代。
この映画は、私の記憶にあるその古い記憶よりもう少し前の時代を描いている。
東京の出版社でミスをして福岡のタウン誌に移動してきた女性編集者(伊藤歩)が、手に取ったはがきの内容に興味を持つところから話は始まる。
そこには「昭和30年代終わりから40年代中ごろまで下関の映画館にいた幕間(まくあい)芸人を探して欲しい」と書いてあった。
幕間芸人とは、映画全盛時代に映画と映画の間に形態模写などのちょっとした芸をしてお客さんを楽しませた人たち。TVの普及とともに姿を消した。
主人公 橋本香織(伊藤歩)が下関のみなと劇場という映画館にいた幕間芸人 安川修平(藤井隆/井上堯之)のことをを取材に行く。
そこで、18歳からずっともぎりをやっているという女性(藤村志保)から彼の話を聞く。
その過程で彼の娘 美里(鶴田真由)の存在を知り、彼女のかたくなな態度から父娘の再会を実現するために安川修平を探し始める。
監督は「チルソクの夏」「半落ち」「四日間の奇蹟」と続けてヒット作品を取りつづけている佐々部清さん。本作品を含む3作品が山口県を舞台にしている。
彼自身が下関市出身で、自分が生まれ育ったところを舞台に映画を撮りたいとずっと思っていたそうだ。
まるで実在する人物のように描かれる安川修平。
実話が元になっているのだろうかと少し調べてみたけど、まったくの創作だそうだ。
原案は秋田光彦さんという脚本家の書かれた大阪の幕間芸人のお話で、こちらは実在の幕間芸人を元に描かれていたそうだ。25年前に読んだこの話を監督はずっと暖めてきたそうだ。
安川修平という人物に悲しい現実があったことが劇中少しずつ明かされる。
その現実は香織に苦い青春の思い出を呼び起こす。
彼を探すことは、彼女のその苦い思い出を浄化させ、また、うまく行っていなかった父との関係の修復のためにも必要なことになってゆく。
とにかく映画がたくさん出てくる。
見たことはないけど、TVの回顧番組では必ず名前の挙がる映画ばかり。
これらの映画はプログラムピクチャーと呼ばれるもので、大衆映画として大ヒットした作品ばかりだそうだ。
監督自身も子供の頃、下関の映画館で親に黙って1人でよく見たという。
この作品は、監督自身のそれらの映画への感謝の気持ちもこめられている。
「いつでも夢を」は日本人ならたいてい誰でも知っている名作中の名作。
あらためてそのよさを考えることはなかったけど、この映画のテーマにぴったりで、いい歌だなあとあらためて感じた。
安川修平の青年時代を演じるのは藤井隆くん。
とにかく人を和ませるその笑顔が欲しかったと監督が言うとおり、彼の楽しそうな笑顔を見ていると自然に笑みがこぼれてくるような感じがした。
そして、現在の安川修平を演じるのは、井上堯之さん。
ほとんどセリフはないが、彼の笑顔と涙をこらえる表情に安川修平の辛く苦しかった人生を見ることが出来た。
ぜひ、見て欲しいと思うので、詳しい内容の記述は避けた。
ここに描かれているのは、どこかの町でひっそりと生きている誰かの人生。
だけど、そこには自分の力ではどうすることも出来ない現実があったりする。
この映画はそういうところをさりげなく見せている。
さらっとしているけど、心に残る・・・そんな作品。
ぜひ、足を運んで欲しい。
蛇足。
これは山口県限定のお楽しみなんだけど。
この映画には、山口県のローカルTV局のアナウンサーが出演している。
ちょっとだけ出てくるんだけど、セリフもちゃんとある。
少し悲しいシーンなんだけど、なぜかそのときだけ劇場からは笑い声が聞こえた。
「カーテンコール」
ジャンル : 人間ドラマ
製作年 : 2005年
製作国 : 日本
製作 :「カーテンコール」製作委員会
配給:コムストック
監督・脚本:佐々部清
原案:秋田光彦
音楽:藤原いくろう
出演:伊藤歩、藤井隆、鶴田真由、奥貫薫、津田寛治、井上堯之、夏八木勲、藤村志保、福本清二 他





コメント